細い根がしっかり地面の下に張っていれば、樹木はしっかりと育ちます。
人生とはいろいろな人の人生を訪ねる旅。自分がこれまで知り合った素晴しい人々、その人生をご紹介しながら、共に細い根を伸ばして戴けたら幸いです。
文:山口 正孝(サム)
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何年ぶりでしょうか? 2006年02月02日(木)  No.008
気が長く、心のやさしい家主のやわらぎさんは、ずーーーーっと復活の日を待ってて
くれたようです。大感謝です。ありがとう!!

最近骨折もしましたが、歯も悪いんです。そのへんのレポートを実体験をもとに、綴っていきたいと思います。準備していますので(ただ先延ばし?)もう少しお待ちください!ええっ?待ってないって?そう言わずに、でもまあいいです。好きなように書かさせていただくことで大満足できます。

『ローマは一日にしてならず』

もう一度行きたい 2003年07月19日(土)  No.007
ご無沙汰しています。大家さんから退去命令が出そうです。

今日は、突然ですが、もう一度行きたい所について書いてみます。

人それぞれ思い出の場所があるかと思います。そして、その場所をもう一度訪ねてみたいという所があるかと思います。

ぼくもそういう所があります。夕日に染まる赤い岩、どこからか自然が奏でる懐かしいメロディー。そこは、アメリカ西部ユタ州、アーチ−ズ国立公園の中にあります。
その赤い岩の名は「デリケートアーチ」。

1996年にアーチーズ国立公園を訪れました。家族4人がLAからロングドライブの末辿り着いたアーチーズは、穴あき岩の宝庫です。長い年月の間に自然の力は岩に穴を開けました。正に自然が作った芸術です。それぞれに、名前がついています。今にも落ちてきそうな大きな丸い岩をバランスよく支えているバランスロック。まるでメガネのように穴が二つ並んでいる、ダブルウィンドウ。羊の形をしているシープロック。ニューヨークのビルが連なっているような、パークアヴェニュー。よくもまあ、ぴったりな名前をつけたものです。公園の中の鋪装された道からそれらの多くは見ることができます。

デリケートアーチは、他の岩と違って道から遠いところに孤独にそびえています。そのアーチの形は、はかられたように絶妙のバランスで二つの足でしっかりと広い岩の上に立っています。

駐車場に車を停め、約40分なだらかな岩の上を登っていきます。途中その道は急に勾配がきつくなったりしながら、汗かきながら登りつづけます。行き交う人々と挨拶を交わしながら、時々「あと何分だよ」と教えてくれる方もいます。片方が崖になっている
ちょっと危なっかしい所を通り抜けると、崖と反対の方向に視界が開け、目的のデリケートアーチがデーンと表れます。その時の感動は、鳥膚が立つような感じです。
目的地についた人達は、デリケートアーチがよく見れる場所に腰掛け、いつまでもアーチを見続けます。当日、天候が不順で雨がポツリ、おまけに遠くには稲妻がピカリ。
スコールの予感がしました。ぼくたちは、夢にまで見た夕日に染まるデリケートアーチを見ずして、帰りの道を心配して、後ろ髪をひかれつつそそくさと戻ってしまいました。

ふもとに降りて、ほかの岩を見ていたら、天候が回復してきました。ふもとに車で行ける所にデリケートアーチ オブザベートリーという地点があり、あわててその地点に行ってみると、デリケートアーチが夕日を浴びて真っ赤に燃えているのがはるかかなたに見えるではありませんか。その瞬間思いました。いつかかならず目の前で燃えるデリケートアーチを見に来るぞと。

それから、7年たちました。まだアーチーズを訪れる機会はありません。ぼくのこころにはいまだに燃えるデリケートアーチがあります。できたら、また家族4人で訪ねてみたいと思います。

あの時あの地点で見ることが出来なかった、真っ赤なデリケートアーチを見る事が出来た時ぼくたちはどんなことを感じることでしょうか?

もう一度行きたい所について思いを馳せてみてはどうでしょうか?

花の命は 2003年04月07日(月)  No.006
桜の花もピークを過ぎて、風が吹くたび、雨が降るたび散っています。花の命は短いものです。

人の大人の歯(永久歯)は、6歳ころから徐々に成人の骨格のサイズに合うように、子供の歯(乳歯)から交換が始まります。俗に6歳臼歯と呼ばれる、第一大臼歯が最初に生えます。この第一大臼歯は、物を噛む時、最も力が加わる歯です。それだけ重要な歯にもかかわらず、最初に生えるため長い年月数々の試練を最も受ける歯です。そのため、虫歯(う蝕)になるのも早く、またいわゆる歯槽膿漏(歯周病)になるのも早いのです。

ちょっと、視点を変えて「人間の欲」というものを考えてみましょう。人間には、いろいろな欲がありますが、つきつめますと、性欲(いわゆる色気)と食欲(食い気)になりましょう。色気は増齢とともにだんだんと衰えていきます、普通は....。でも食い気は、年をとっても量の差こそあれいつまでも衰えません。うなぎの好きな方であれば、「○○屋のひつまぶしをもう一度たべたい」という願望は、ずっとあると思います。そうです、年をとっても食欲は、消えていきません。おいしいものをいつまでもおいしく食べるために必要なものは何でしょうか?

食べ物は、咀嚼のシステムによって噛み砕いて、すり潰して消化器に送り込みます。咀嚼のシステムの代表的な器官と言うと、そうです、「歯」です。歯が丈夫じゃないと、食べ物がうまく噛めません。おいしく味合うことができないことはもちろん、噛めないと、胃腸を悪くします。年をとっても、いつまでも食べ物をおいしくいただくためには、「歯」がとても重要になってきます。

第一大臼歯は、一度生えたら生え変わりません(ほかの永久歯でもそうですが)、生えた瞬間にその人の人生とともに歩む、過酷な試練にさらされるわけです。

しかし、前に言いましたように第一大臼歯は、悪くなりやすい条件がそろっています。歯をなくさないようにするために、一番重要なことは?意外かもしれませんが、それは体全体のコンディションを整えることです。歯とて、体を構成する器官の一部です。ですから、体全体の影響を受けるわけです。体の丈夫な人は歯も丈夫ですよね。

それでも、口の中には、たくさんの種類と数の細菌が住んでいます。口の中が健康なときは、細菌同士がけん制し合い、それぞれが仲良く住み分けをしていますが、ひとたび口の中が非常時(コンディションが崩れる)の状態になりますと、特定の細菌が力をつけ数を増やします。普段はおとなしい子でも、集団になると思わぬ悪さをしちゃうことがありますよね。それと同じように、特定の細菌が異常に増えちゃうと、いろいろと体に不都合なアクションを起します。その結果、虫歯を作ったり、歯槽膿漏になったりするわけです。

ここではじめて、歯のブラッシングが登場します。基本的に、ブラッシングは、口の中、とりわけ、歯の表面に付着した細菌のかたまり(プラークと呼ばれている)を、除去して特定の細菌が力をつけないように、ニュートラルな状態にすることだと、考えています。

ここまでのまとめをします。口の中のコンディションを整えるためには、第一に体全体の健康状態を保つこと。第二に歯を中心としたブラッシングです。

花の命は短いものですが、歯の命を長く保つために、体全体と口のコンデションを整えるために、具体的にどういうことをしていったらよいのでしょうか?

長くなりましたから、次回に回します。

フランクのおっちゃん 2003年03月10日(月)  No.005
チョコレートの話のあと、しばらく投稿が途切れてしまいました。チョコをもらいすぎて、食べすぎて体調を崩していました。もうちょっと若いうちにこんなんになりたかったな、と見栄を張っておきます。ほんとは、どうかな?

さて、アメリカはイラクとの戦争体制をちゃくちゃくと進めています。ぼくらが抱いていたフレンドリーアメリカのイメージがちょっと揺れ始めてきていますね。でもね、前回登場していただいたキャンベルさんはじめアメリカには、心底よい人も多くいます。その方々の良心があるから、こうやってアメリカ合衆国という国が存在していると感じます。

シカゴの近郊に、愛すべき友達が住んでいます。彼はおっちゃんという表現がぴったしのナイスガイ?です。おっちゃんの名は、フランクリン・ワイン(ドイツのワインの名前みたいですが、事実、出はドイツだそうです)。年は69歳。
歯科の専門分野では世界的に有名なひとです。いつも元気で、声がでかいから、ぼくはおっちゃんと思っています。でもおっちゃんを、呼ぶときは、「フランク」です。
おっちゃんは、ぼくのことを、「マッシー(Massy)」と呼びます。

はじめて、おっちゃんに会ったのは、1987年2月、場所はミシガン湖から吹くどえりゃ冷たい風で耳がちぎれそうになった、シカゴでした。いっしょに学会に出席した日本の先生(故人、いずれコラムに登場します)に紹介されたのが、最初でした。初対面から、妙に気が合っちゃって、以後13,4回位機会あるごとに、会っています。

話す内容は、専門の歯科の話はそこそこに、2人のいちばんの共通の話題は、メジャーリーグベースボールの話です。まだ、日本ではメジャーリーグがメジャーじゃないろから、ぼくは渡米のたびに雑誌、新聞を買っていたし、シーズンであれば、球場で真剣に観戦したりしていました。彼の贔屓は、シカゴホワイトソックス。そして、大リーグすべてのチームに精通していて、いついつのどことどこの試合で、誰がホームラン打ってどっちが勝ったとすらすらと言えるんです。好きこそものの上手なれと、いいますがなかなかのもんです。そうやって、お付き合いしているうちに、日本人大リーガーも増え、大リーグ談義はますます加熱してきています。ここ数年前からは、新聞の切り抜きを定期的にどさっと、送ってくれます。昨年は、ぼくが贔屓にしている、アナハイムエンジェルス(なぜ贔屓かというと、また将来のコラムで紹介します)がワールドシリーズで優勝しちゃったので、おっちゃんもたいへん喜んでくれて、切り抜きをどさっと送ってくれました。

おっちゃんは、大の日本贔屓でもあります。某大学の客員教授でもありますので、毎年日本を訪れるたびに、日本語それも、漢字に興味が湧き、「大阪」「名古屋」「山口正孝」やらは独自の書き方で書けます。日本滞在中は、ときどき一人歩きするのが好きで、デパチカをぶらぶらしては、焼き鳥を買って、ほう張りながら「ヤキトリ一番!」と大声でそこらの人に声掛けながら歩いたりしています。

おっちゃんは、数年前、心臓のバイパス手術を受けました。直前に日本を訪れ、ぼくの家族と食事をしながら、もう日本に来れないかも知れないって、寂しそうにいっていました。ぼくたちは、きっとまた来れるよと励ましたのですが....オペ後、今度は
前立腺ガンのオペを受け、電話の向こうでは、もうだめだよって、今まででいちばん弱気の発言でした。新聞の切り抜きも送られて来なくなりました...おっちゃん、復活してくれ〜

一年後、熱い封筒が届きました。大リーグの切り抜き満載でした。「元気になったぜ、マッシー。近いうちにまた日本で会おうぜ、それともこちらに来るかい?特大のステーキが待ってるぜ!」おっちゃん復活だーやった〜

そして、去年の秋、おっちゃんは見事に復活を遂げ、大好きな日本を再び訪れることができたのでした。よかった、よかった。それにしてもおっちゃん、元気すぎるぜ!
日本滞在中、ホテルの部屋で足を踏み外し、いててと言っていたが、気にしないということで、ゴルフも大阪で2ラウンドしたそうな。ちょっといたかったけど、NO PROBLEM! でも実は骨折してたんだって!それくらいの、気力があるから、心臓疾患や前立腺ガンを克服できるんだろうね。

いつも、ぼくの家族に気を使ってくれる、おっちゃん。歩く姿がどことなく漫画チックなおっちゃん。今だに学会の第一線で、プレゼンテーションをするおっちゃん。裏では、相当努力されたことを伺い、ほろっときました。学生時代、自分の学費を稼ぐため、なんとシカゴで、休日や夜、タクシーの運転手をしていたんだってね。

そんな、愛すべきおっちゃんの国アメリカ。大好きだけど、誤った道を選択しないよう祈ります。

おっちゃんは、4月に開催される歯科の専門学会で、長年の歯科への貢献をたたえて表彰されることが決まってます。フランクのおっちゃん、おめでとう!またいっしょに球場へ行こうね!


歯の形をしたチョコレート 2003年02月08日(土)  No.004
今年も、2月14日のバレンタインデイが近づいてきました。

若い頃(中学,高校の頃)、山のようにチョコをもらう友人をしり目に、寂しそうにたたずむ自分の姿が思い起こされますが、この年令になっては人生のひとこまに過ぎなかったぜ、と自分に言い聞かせています。

その後のバレンタインデイには、お話しできない秘密の物語もありますが、今日は、ぼくが経験した、とってもすがすがしいバレンタインデイの思い出をお話しします。

時は1988年2月14日朝、所はアメリカシカゴの空の玄関、オヘア空港。仕事で滞在していたぼくは、ちょっとした箱入りの包みと花束を持って、到着ロビーで日本からアメリカに一時帰国の日本で英語教師をしていた、キャンベル夫妻を出迎えていました。彼らのアメリカの家は、シカゴから、車で2時間ほどウィスコンシン州の方へ行ったところのロックフォードというところでした。

朝早い到着であったため、お茶でも(コーヒーでも?)とコーヒーショップに誘い、その包みを渡しました。「ハッピー バレンタインデイ!」。中身は、歯の形をした、チョコレート。奥様のマニーは包みを開けるなり、「歯の形をしたチョコレートをもらったよ。歯医者がそんなことしていいの!」と大笑い。

しめたッ、うけました。「一会一笑」をめざすぼくにとって、大成功でした。ご主人のパトリックも、ニコニコ顔で、ぼくもすごくハッピーな気持ちになれました。ぼくは、日本で彼らの歯の治療をさせてもらってました。ロックフォードへのバスを見送り、シカゴ市内に戻りました。

そのチョコレートは、元はといえばアメリカ製。輸入されて名古屋のソニープラザで売ってたものを、アメリカまで持って行き、現地の方にお渡ししたということです。それも、虫歯の大敵、砂糖いっぱいのしかも、歯の形をしている単行本くらいの大きさのチョコレート。歯のチョコレートの太平洋2往復、歯科医から患者様へバレンタインデイのプレゼントというミスマッチがバレンタイン作戦大満足の結果に終わりました。

ここで、何かへんだな?と思うでしょう、きっと。日本のバレンタインデイは、女性から男性に、気持ちをチョコレートに託してを送る、というのが定番ですね。アメリカでは、女性から男性からと区別なく、「いつもありがとう、愛してるよ」
という気持ちを身近な人に送るのが、慣例になっているようです。息子からお母さんに、花束やキャンディを送ったり、夫婦同士で贈りものの交換をしたりするようです。その日もシカゴの街中はプレゼントのためのピンクの包装紙に包まれていました。

そして、歯のチョコレート物語は、キャンベル夫妻が何年も語り継ぎ、初対面の方にぼくを紹介されるとき、必ずそのストーリーが語られます。

ここで、歯のチョコレート物語のもうひとりの功労者を紹介しておく必要があります。ソニープラザで買って来てくれたのは、ぼくのかみさんです。

キャンベル夫妻とは、かれこれ16年もの付き合いになります。つい最近スペースシャトル、コロンビアの残念な事故がありましたが、16年前の1月、スペースシャトル、チャレンジャーが打ち上げ時に事故があり貴い命が亡くなった事を思い出しました。ちょうどあの頃キャンベルさんが、歯の痛みを訴えてぼくの勤める病院に来院されました。また、その年、アメリカンフットボールのスーパーボールでシカゴのベアーズが優勝して、シカゴが地元のキャンベルさん夫妻が、大変喜んでいたことを思い出します。

現在、キャンベル夫妻は日本での仕事を終えて、ロックフォードのとなり町、ロックトンというところで暮らしてらっしゃいます。日本に滞在されているときから、ロックフォードでの若い日本人のためのホームステイプログラムをプロデュースされていました。ぼくたち家族も滞在させてもらったこともありますが、広大なフィールドに住んでいるキャンベルさん夫妻は、真に日本とアメリカの文化の交流のために貢献された方といえるでしょう。

彼らは、ぼくたち家族のとても大切な友達です。また、コラムニスト田中保知さん(ぽちさん)との共通の友達でもあります。

ところで、あの大きな歯のチョコレート、全部食べてくれたのかなあ?


   
 
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